夏の残り香 ／たなか智保

我が家の近所の公園で、若者が花火をしていました。
煙で近所中が朦朧と包まれており、火薬の匂いがたちこめていて。
一瞬注意しようかといきり立ちました。
んが。

若者はちゃんと水場の傍でやっている。
打ち上げ花火もしていない。
洗濯物も取り込んだであろう、夜にやっている。
大声を張り上げることもなければ、
手持ちの花火で人を追い回すようなことも無い。


花火すれば、煙出るの当然だしな。
いちゃもんつける筋じゃないわ。
大層スマートな花火姿でございました。

でもどこか寂しいのはなぜ？
はしゃげばいいってもんじゃないけど
おうちの近くでひっそりと夏を終えていく若者。
なんだかオトナすぎて、
なんだかオトナシすぎて、
暴走機関車に乗りたくなったぜ。